page 2/9


業界団体の現状を見渡す

さまざまなデザイン分野別の団体があるが、多くは社会に対して機能しているようには思えない。しかし民間団体の協同組合大阪デザインオフィスユニオン(ODOU)という団体は、いろいろなデザインを業務としている事業者の集まりである。また、社団法人日本広告制作協会(OAC)という組織は、全国的規模で広告制作業をしている事業会社の集団である。

この2つは他の組織と異なり、サラリーマンデザイナーは参加していない。いわば業界形成の核となるべき存在である。もうひとつ、日本インテリアクリエーター交流協会(JICX)というものがある。これは、インテリアに関連のある企業と、デザイナーとの交流の場を作りたいとの話を、私が組織体制・理念作りから始めたもので、設立してすでに丸6年になる。企業という事業目的集団とクリエーターという創造の原点である個人がひとつの場(理事同数)で活動しているユニークな団体である。

この組織はインテリアの業界形成を目指すものである。建築建設業界が、国からも認められ国家事業の一翼を担う業界であるのに対して、個人ひとりひとりの感性や生き様をていねいにフォローする業界がインテリア業界である。しかし、管轄官庁が、通産、建設、労働各省にまたがり、制度も、組織も、企業も、個人クリエーターも、ばらばらな状況がインテリア業界である。

インダストリアルデザイン業界は、日本の場合、インハウスデザイナーが大半を占め、この分野のデザイン事業所は、下請けか中小企業のコンサルタント的な立場が多い。近年は経営的視点に立った「モノ」作り、「コト」作りが増えつつあるとはいうものの、多くの中小メーカー企業の「絵を描いてほしい」という要望に単に応えるだけの状態から、なかなか抜け出せない。インハウスデザイナーにおいても、他分野の広い知識と情報がなければ、社内的な立場すらなかなか確立しにくい。

グラフィック界は、ポスターを作ったりパンフレットを作ったり、また、近頃はインターネットのホームページ制作や、ビデオ、CD-ROM等作成で、良く言えばコミュニケーションデザインをする分野として一般に認知されている。しかし、実務としては、広告代理店や印刷会社の下で技術専門職として表現物を作る事業者のほうが多く、メーカーや流通、などと直接取引をしている場合も、デザイン事務所オーナーのキャラクターや特異な才能に負うところが大きく、業界というには、普遍性も自立性も乏しい。中小企業にとっては、いい人と巡り会えるかどうかが運であろう。

つまり、業界団体も、分野別の団体も、現状では社会的存在として、自ら強力に発言してゆく素地がなかなか作りにくい段階であり、中小企業者にとっては、個人的能力に期待するしかない状況である。


back   next