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このままではつぶれる!!
─ 21世紀のデザイン業に向けて ─


吉羽敏郎
TOSHIRO YOSHIBA

はじめに

デザインの世界は、古くから人の持つ技能として、脈々と伝えられてきた。デザインとは何か、また、アートとの違いについて、多くの先人が語り残している。デザインを業とする職種としてのデザイナーの存在の意義は、戦後50年間で多少明快になってきたものの、一般社会人の人々には、相変わらず、はっきり理解されてはいない。いや、業界内でも「暗黙知」のように語られているが、誰もが納得するような定義はない。それはデザインが、時代とともに変化し、拡大解釈されてきたりしているからでもある。しかし、<実務こそがデザイン>であり、研究者による哲学的解釈も、実務世界からみると、あまり当たっているように思えないことが多い。

実務者としての私、またデザイン界の著名人でもなく、戦後生まれでもある私が、ここに記するひとつの考え方、定義は、これからのデザインの在り方、また、これからのデザイン業の在り方についてのひとつの試論である。何らかの方向付けができれば幸いであると思っている。

いつもながらの暴言と辛口の見方は、多少の誤解と、山のように押し寄せる反論とを生みだすことを覚悟の上で書かせていただく。

私の願いは、まず、いまだ一般社会から認知の薄い、デザインを業とする我々の業界形成を確立することである。そしてそれを達成するために、どんな考え方と、どんな経験で体力をつけていかねばならないかを、若いデザイナーの人たちに知ってもらいたい、ということである。

また、この冊子の多数の読者である中堅、中小企業の方々に、デザインの業界とデザイン本来の機能を知ってもらい、よりよいパートナーシップを作り上げていただきたいとも願っている。少ない紙面ゆえ、言葉たらずで、ご理解いただきにくい面が多々あることをお許し願いたい。まず初めに、デザイン業としての業界団体の話から始める。

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